花はかろやかに

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このところ気温差の激しさについていくのが大変ですね。
三寒四温という言葉もよく聞かれますが、
実はこの言葉、中国の冬の気候の特徴をあらわした言葉なのだそうです。
日本では春に向かってだんだん暖かくなっていく時期というイメージで使われることが多いですよね。

言葉と同じように、漢方の処方や運用も
実際の気候や体感にあわせて変化しつつ
より゛しっくりくる”ものが伝わり残っていくようです。

そんな中でも世界中で通じるのではないかと思える
共通する感覚もしっかりとあります。
まず昼と夜が交互にやってきて
昼は明るく夜は暗くなるということ。
そして日本ほどはっきりした四季があることは珍しいですが
寒くなったり暖かくなったりする。
暖かくなると花が咲く植物が多い。
花は軽やかで石は重い。

ほとんどの人があたり前だと思えることというのは
昔から変わっていいないことも多いような気がします。

そしてそういった性質が薬として使われるようになる
きっかけに繋がっているのかもしれません。

「花は軽いから上半身や体の表面に出た症状によく効くのよ。」
そう言われるとなるほどそうかと思えてしまう
地球共通ルールは強いなあ、と思います。

もちろん今は科学的研究もどんどんされていますが
千年前とも通じる感覚はなくなってほしくない気もします。

 少しずつ気温も上がりはじめ、虫や動物たちも動き始める季節になりました。
 普段、人間が気付かない土の中でいちはやく動き始める生命たち。
その代表ともいえる蛇のパワーに注目し研究、開発を経て先ごろ発売された漢方の健康食品があります。

 中国では伝統的に
蛇や虫を食生活にも取り入れてきた文化があります。
特に【きだ】と呼ばれる生薬になるマムシ亜科のヒャッポダを加工したものは、経絡を通し風の邪気を駆逐する力は最速最強といわれています。
そのパワーを中心にに様々な生薬を組み合わせて丸剤になっています。
もともと脳梗塞の後遺症によるしびれなどのために考えられ、そこから他の漢方薬とあわせて牽引薬としての使い方もできるなど活用が期待されています。
マムシとあわせてサソリの生薬も使われているので強壮剤としても優れているそうです。
 ご興味のある方はぜひ試してみてください。

 最後に。
お話を伺った中医師の先生いわく、
中国では虫にも五行の思想にのっとったグループ分けがあり

鱗虫 蝶など。長は龍
甲虫 玉虫など。長は神亀
羽虫 蝉など。長は鳳凰
毛虫 毛のある虫。長は麒麟
裸虫 ミミズなど。長は聖人(知性の優れた人、人間)

とされているそうです。
スケールが大きいですよね!
この感覚でいくと
「中国ではレストランで普通にサソリのから揚げがあるよ。
 日本人もエビ食べるでしょう?一緒一緒!」
とおっしゃるのも納得のような。
なにせミミズと人間が同じグループですからね。

「一匹の人間が持っているだけの精力を、
一事に傾注すると、
実際、
不可能な事はなくなるかも知れない」

という森鴎外の名言もあります。
一匹の人間、ってどういうことかしらと考えてみるのもおもしろいかもしれませんね。

季節外れの陽気から一転、
朝のカーテン開けたら雪景色。
かと思えばまた日中は二けたの気温の日があったり。
何とも気候の変動の激しい12月です。

寒くなると血流も悪くなりがちですよね。
冷えや痛みのご相談もふえてきます。

不調の原因として
もう年だから…。
そんなお声もよく聞きます。

でも同い年で集まってもやけに元気そうな人っていますよね。
何が違うのでしょう。

漢方の考え方で捉えると
キーワードは【補腎】と【活血】。
何千年という長い時間をかけて
いつまでも元気で長生きをするために、良いものがないか。
と熱い思いで探求し続けてきた人々の
壮大なスケールの検証。記録。
本当に効かないものはそもそも残っていない。
そんな気がします。

もちろん合う合わないはあると思いますが
ご興味があればいつでも覗いてみてくださいね。
新しい世界が広がるかもしれません。

それでは皆様どうぞよいお年をお迎えください。

今朝、起きるとなんだか体がだるく、頭が重い…なんだか睡眠も浅かったような
という時が急に起きた時は、自分だと風邪のひきはじめのことが多いです。

なんとなしに朝食に一味唐辛子をかけまくって、食事をして食べ終わるとじんわりと体から汗が出ました。
そうしたら、寝起きに感じていた体が重いとか風邪っぽいとかの体調不良が全部治りました!

「風邪のひきはじめは汗をかいて治しましょう(発汗解表)」、と中医学では昔から言われていますが、こういうことかーと基本に立ち返る重要さを身に染みて感じました。

有名人で「筋トレをして汗をかけば風邪なんてひかない」と言ってる方もいますが、それも確かにそうなのかも…。

今回はたまたま唐辛子だけで治りましたが、基本的に発汗解表で風邪を治す時は葛根湯、桂枝湯、麻黄湯、銀翹散などを用いることが多いです。
逆に言うと上記処方を飲むだけでなく、飲んだ後に汗をかく工夫をすると風邪はすぐ追い出せます。

簡単にお腹をひっこめる方法―――

それは「ラジオ体操をすること」です!!

私もロングブレスダイエットだのプランクだのロシアンダイエットだの色々やってきましたが(どれも効果はありましたが)

この前、朝6:25ごろのラジオ体操をやってみたら、驚くほどお腹周りがへっこみました!(体感-5㎝ぐらいなった気分)

実際は体重があまり変わりなく、単純にインナーマッスルが引き締められたのが大きいでしょうが、週に1回やるだけでも全然違います。

そもそも体力的に落ちているので、1回通してラジオ体操するだけでも息が上がる惨状でしたが、そういう人ほど効果がでかいです。

Let’s ラジオ体操

体重を落とすダイエットをしたい人は、漢方的には痰湿、瘀血、新陳代謝を上げていく方法で楽ちんダイエットする方法もあります。

味覚障害、胃腸から

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味覚障害は脾胃気虚
という本を見つけてなるほどーと思ったので引用します。

「脾胃気虚・食欲がない・少食・味がない・食べると腹が張る・消化が悪い・~四肢がだるい」
~あきらかな訴えがない場合にも、よく聞くと「食べなくても平気」とか「空腹感はとくになく時間がきたから食べる」ということが多い。
子供などでは、生野菜ぎらいや偏食がよく見られ、甘いものを好む傾向がある。生野菜は消化されないので本能的にきらい、甘いものは速効性のエネルギー補給になるためである。
「森 雄材著:図説漢方処方の構成と適用-エキス剤による中医診療-p16-17」

この本に「味がない」のは脾胃気虚と書いてあるんです。
味覚障害は亜鉛不足は有名ですが、味覚障害が脾胃気虚ベースになるのは新発見です。
確かに、私も胃腸虚弱で二日酔いの時は塩味がさっぱり分からなくなります。カレーやラーメンを食べても塩味が全然しなくなるのですが、1日経てば治ります。
亜鉛不足かとも思っていたんですが、お酒の湿熱+胃腸虚弱からくる味覚障害だったのかもと思うと興味深いです。
コロナ後遺症からくる味覚障害も脾胃気虚ベースで対応するといいのかもしれませんね。

あと、「胃腸虚弱の人は、生野菜が本能的に嫌い」は確かにありそうです。
そもそも胃腸虚弱の人は胃が冷えてるので、胃を冷やす生野菜は本能的に避けたい。こどもは胃腸が未発達なので、野菜を避けるとなると、こどもの野菜嫌いは無理やり食べさせるより胃腸を強くしたら(強くなったら)自然に食べられるようになるってことでしょうか。

漢方では、肺に水がたまると咳がでると言われています。
2000年前の人が言うことなので、実際にレントゲンで水が映る胸水や肺水腫といった症状のこととは少し異なります。
胸水や肺水腫の時は、その時に飲むような漢方があります。

咳の時の肺に水が溜まるとは、肺まわりがむくんでいるような水の流れが悪い状態です。
この時は、肺に溜まった余分な水分が痰として出てきたり、痰をだそうと咳が出たりします。

なんぞ出にくい痰が絡んだり、空咳のような状態が長く続く時も、やはり肺の水の流れが悪いです。
麦門冬湯飲んだけど効いたような効かなかったようなという時は、水の流れを改善すると驚くほど咳がピタっと止まります。

水の流れを改善するには、水を吸収する胃腸(脾胃)、水を空気と一緒に体に散布する肺、いらない水を尿として出す腎の三つの臓器を同時に治していくと効果的です。

肺・脾・腎をバランスよく治して、水の流れを改善し、肺に水が溜まっている状態を解消すると、長年お困りの咳が楽になります。

ストレスでお腹を壊す(下痢する)とよく言われており、ストレス→胃腸というイメージが強いですが、
漢方では、一番ストレスに関係する臓器は胃腸でなく「肝」といわれています。

「肝」は気の流れをぐるぐる回している臓器と考えられており、ストレスなどで気の流れが滞ると、自律神経がおかしくなります。

「肝」の自律神経がおかしい状態が胃腸に伝わると、肝脾不和(かんぴふわ)と呼ばれる下痢しやすい状態になります。

西洋医学的に考えると、「ストレスで肝臓の胆汁関係が乱れて消化が悪くなり油もので下痢しやすくなる」という説明が近いと思っていました。

しかし、これだと炭水化物を分解する唾液が入ってなくて「油もので下痢する」に近く、「ストレスで何を食べても下痢する」の説明に少し遠ざかっているような印象も…。

そんな中、腸の情報は肝臓経由で脳に伝わっている(DOI:10.1038/s41586-020-2425-3)という論文があるのを知りました。

肝臓が腸管環境情報を集積・統合して脳へと伝達し、脳から腸にフィードバックしているそうです。

つまり、腸内環境は肝臓が現場監督をしているという、中医学の肝→胃腸のつながりに似ているような話に近い印象を受けました。

論文では、肝臓が良いと腸内の炎症が減る、肝臓が悪いと腸内の炎症が増えるみたいな感じでしたが。

腸内環境は単純に下痢だけでなく、アレルギー体質などの炎症反応や情緒にも関係してきます。

腸内環境をよくするには、胃腸だけでなく肝臓を強くすることが重要であるともっと研究がすすんでいくと良いですね。

ストレスで下痢しやすい場合、漢方的には、単純に下痢止めや整腸剤だけでなく、「肝」の気の巡りをよくする生薬が入ったものを用います。

ストレスで胃が痛い場合は、安中散を使うことも多いです。安中散にも「肝」の気の巡りをよくする生薬が入っています。

また、例えばニキビやアトピーのような炎症性疾患も、「抗炎症」⇔「腸内環境」⇔「肝」のつながりを考えると早く良くなります。

中医学的には、五臓は関係性があると言われているのが科学的に解明されていくと面白いですね。

「胃腸」トラブルの責任は「肝」にもあるという感じなので、「肝」強くする観点から治していくと良い結果につながることもあると思います。

余談ですが、「肝」がパワハラしすぎて「胃腸」が弱るパターンもあるので、そういう時は「肝」を鎮める方法も漢方的にはあります。

大人の手足口病は出勤可能

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子供の手足口病を看病しているときに稀にではありますが、
大人も感染する場合があります。

その時、大人は出勤していいのでしょうか?
答えは、「発熱がなければ出勤しても大丈夫」です。
ただし、糞便から排泄されるウィルスの感染力が1か月ほど続くので、まわりに感染させる可能性はあるので、手洗いはしっかりしておきましょう。
大人は滅多にかからないので、大人から大人へ感染させることはほぼないでしょう。

こどもの場合は「熱が下がって、食欲があれば保育所にいってよい」という基準ですが、こどもの場合も感染力は1か月続くそうです。
ただし、こどもの場合は感染者がでると、「どうせ全員かかるので」こういう基準になっているそうです。

漢方的には、抗炎症、免疫をあげるもの、水泡に効くようなものを用います。

大人の手足口病発症例
1日目:発熱39.5度、頭痛(+)
2日目:発熱38.4度、頭痛(+)
3日目:体温36.9度、掌に発疹が5-6個、舌先に1個の口内炎(+)
    指をいつの間にか紙で切ったかなという痛みがでて、そこに発疹ができる
4日目:平熱、掌、足のひらに発疹が広がる、舌先に舌痛(+)、かゆみ痛みなし
5日目:手のひらから肘、足の裏からひざまで発疹広がる、口内炎(+)、舌痛(+)
6日目:発疹広がるの止まる、口内炎(+)、舌痛(-)
7日目:発疹少し小さく枯れ始める、口内炎(+)
8日目:発疹小さくなっていく、口内炎(-)

のぼせ、ほてり、イライラなど更年期障害のような症状が、
40歳よりずっと若いのに出る。
もしくはとっくの昔に閉経したのに出る。
「更年期って年齢でもないのに更年期障害になるんでしょうか?」
という相談がよくあります。

実際にストレスやホルモンバランスの乱れで更年期障害と同じ症状が年齢に関係なく出ていることは多いです。
「更年期障害に似たようなものですね」と店頭で説明していますが、もっといい言葉がありました。
それが「血の道症(ちのみちしょう)」です。

「血の道症」とは思春期から老年期まで広い年齢にみられる症状。
主症状は、のぼせ、動悸、気分が悪い、気がめいる、怒りやすい、つかえる感じ、圧迫感、うつ、ヒステリーなどの神経症、頭痛、めまい、動悸、おなかのハリ、げっぷ、吐き気、全身のほてり、しびれ、頭重、耳鳴り、震え、ひきつけ、けいれん、不眠など。
単独で起きたり、複合で起きたりしますが、血流関連(瘀血)の症状が最も多いとされています。
血流の悪さで起きる症状もありますが、胃腸症状、水毒、ストレスなど原因はさまざまで、症状も更年期症状と同じです。

もっというと更年期障害が、血の道症の一つであり、
更年期障害(40-55歳ぐらい)が血の道症(思春期~老年期)に含まれている感じです。

なので、「更年期って年齢でもないのに更年期障害になるんでしょうか?」というのは、なってるといえばなっているし、正確にいうと「血の道症」で更年期障害と同じ症状がでている状態です。

三大婦人方といわれる当帰芍薬散、加味逍遙散、桂枝茯苓丸を使われることも多いですが、その他にも、「血の道症」を改善する方法や漢方は多数あります。